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20140128

皆さんこんにちは。加藤嘉一です。

アジア出張続きでなかなか更新できないでいました。
申し訳ございません。

いまは一旦ボストンに帰ってきていますが、少ししたらまたアメリカ国内出張です。
落ち着いて執筆したり読書したりという時間と空間がなかなか確保できないのが悩みですが、
武者修行にとってはこれもひとつのプロセス。
一日、一分、一秒を大切にしていきたいと思います。

本日はひとつ皆さんにご報告したいことがございます。

僕が2011年7月に日本で出版させていただいた《われ日本海の橋とならん》(ダイヤモンド社)の
中国語版《加藤嘉一的留言:其実離不開》(東方出版社)がついに中国大陸で出版されました。
これまで中国語市場(中国大陸、香港、マカオ、台湾など)では直接中国語で執筆してきた僕ですが、
今回は人生で初めて日本語で書いた本が中国語に翻訳される「輸出本」ということで、
新鮮な気持ちで本書を中国の読者に送り届けたいと思っています。
と同時に、これは《われ日本海の橋とならん》をめぐって、日本と中国の読者が「つながる」という
インタラクションを体現しており、拙書が日中相互理解を少しでも促進させる一役を担えればと願っています。

拙書を出版する過程で、多くの方々にご指導頂きました。
紆余曲折を経てようやく出版にこぎつけることが出来ました。
この場をお借りして衷心より感謝の意を申し上げます。

さて、

国家間関係は行き詰まっている。
世界はアナーキズムから脱却できないでいる。
如何にして民間交流を促進させ、国境を超えた相互理解を深化させるかという問題は長期化する。
その意味で、「言葉を交わす」・「文化を伝える」・「観念を届ける」役割を担う翻訳の重要性を
再認識している。

僕自身、訳書としては、これまで《もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら》(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)、
《国益と外交ー世界システムと日本の戦略》(小原雅博著、日本経済新聞出版社)
2冊の中国語訳を担当してきたが、これからは日本語→中国語だけでなく、
中国語→日本語、日本語→英語、英語→日本語、中国語→英語、英語→中国語の翻訳にも挑戦しつつ、
「グローバリズム時代における翻訳のミッション、活字のチカラ」という文化の問題に
重層的に向き合っていきたい。

「世界のどこかで暮らす人々に新しい世界観を届けられるような人間になりたい」、
そう思うようになって早20年の月日が経った。
頭のなかでイメージしたミッションは全然達成できていないし、毎日ドジばかりして、
落ち込んでばかりの僕だけれど、ぶつかっていく対象が存在することは幸せなこと。
そして、それが存在する限り、努力を怠ってはいけない。それしかできないのだから。

「無様でもいいから走れ!おい嘉一、前見ろ!顔上げろ!」

そう叫びながら、僕を叱り続けてくれた故父親に息子としてのあるべき姿を届けるために。

昨日より強い明日を創るために。

今日も走ろう。
 
 
2014年1月27日 ボストンの自宅にて