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20140110

皆さんこんにちは。加藤嘉一です。

日中関係は正念場を迎えています。

「尖閣危機」からいまだ抜けだせないでいる情勢下で、
年末にかけて、中国政府による防空識別圏の設定や安倍晋三首相による靖国神社参拝を含め、
両国関係を複雑化させる持続的要因や突発的事件が断続的に発生している。

日中関係をめぐる国内外情勢が変化していく中で、
両国首脳部はまず内政をきちんとマネージメントしないといけない。
外交は内政の延長線上に有る。
「内交」の段階で躓いていては足腰の強い「外交」はできない。
そして、排他的で狭隘なナショナリズムが蔓延るなかで、民意が察知しないまま、国益、
即ち国民の安全や繁栄を担保するための利益は駆除されていく。
そんな悪循環に日中が同時に、構造的に直面している。
これは長期戦になる。
もう発送の転換しか無い。

日中関係が「改善した」とか「悪化した」とかいう一朝一夕の「感情的二項対立論」ではなく、
不器用でもいいから、長期的に日中が共働していくためには何が必要かという世紀の課題を国民レベルで考え、
一人一人が目の前の、身の回りのミッションに献身していくしか道はない。

2005年、北京大学の学部生時代に反日デモを目撃したときは、「日中関係は最悪な状況なんだな」と
心底思ったが、いま振り返ればそれは序章でしかなかった。
2010年、2012年、2013年、時を追うごとに日中関係は「悪化」していった。

繰り返すが、ここまで来たら、発想を転換し、構造的要因を分析すると同時に、
長期的視点に立って足腰を強くしていくしかない。
体力と忍耐力が不可欠になる。
人間、長期的に物事を考え、立ち位置を見出すには体力がいるものだから。
そして、議論しよう、では足りない。
行動を起こさないと、先は見えても、道は開けない。

いま時代が求めているのは、部屋に閉じこもって事件や情勢を「客観的に」分析し、
蚊帳の外から言いたいことを言うだけの人間ではない。
たとえ行動範囲は狭くても自らの足を使って、自らが信じる現場へ赴き、「主観的に」行動する人間だ。
失敗しても立ち上がり、何度も繰り返し挑戦し続ける真のシティズンだ。

僕自身、自分にとっての現場はどこなのかを不断に探求し、行動していきたい。
行動ありきのアプローチを堅持したい。
行動があって初めて議論は生きる。
その逆は自己満足でしかない。
自戒の念を噛みしめたい。
 
 
2014年1月9日 ハーバードの研究室にて
 
 
 
P.S

以前、博報堂所属の若者研究者で、マーケッターの原田曜平さん(「さとり世代」をめぐる議論でも
ご活躍されてます)とこれからの中国と日中関係を(少し前になりますが)語り合いました。
分野や世代、国籍を超えたダイナミックな議論と行動が今こそ求められているのだと思います。
以下のリンク、ご参考ください。

20140110_2
加藤嘉一×原田曜平 『これからの中国の話をしよう』番外編対談