今、北東アジアにおける日中韓協力をどう推進していくかを考える
国際会議に出席するため、シンガポールに来ています。
主催は南洋理工大学孔子学院で、フォーラムの名称は
「SingPeaceChina-Japan-Korea」といいます。
ぼくは日本側の代表として、中国代表の人民解放軍少将羅援さんと一緒に行きました。
会議は一日でしたが、会場には現地の英文メディア『TheStraightTimes』や
中文メディア『聯合早報』の編集長や記者たちを含めた200人くらいが駆けつけ、盛況でした。
参加した後の感想は2つ。
ひとつは、シンガポールという、東アジアの国際政治にとっては第三者的な
ポジションにつける都市国家が、
日中関係や朝鮮半島の動向に非常に関心を
持っていること、通商国家として、
国を不断に開き、洗練されたヒト、モノ、情報、
カネを引き寄せることによって生きていくしかないシンガポールにとって、
地域の安定と繁栄はまさに核心的利益なんだ、ということを肌で感ずることが
できたのは大きかった。
ふたつに、参加者や観衆、メディア関係者も含め、日本を襲った地震・津波、
その後の原発問題に非常に関心を持ってくださっていて、
「今こそ世界がひとつになって日本をサポートすべきだ」という雰囲気で会場が満ちていた。
自然災害が多発する傾向にあるこの時代、各国共にどう協力しながら
危機管理を進めていくか、エネルギー供給という視点から、原子力とどう向き合って
いくのか、皆さん真剣に考えておられた。
本会議は3月11日前に、全ての企画・アジェンダが決定していたが、
前日夜のウェルカムパーティーで司会進行の方から、
「加藤さん、明日は貴国を襲った地震も扱いますよ。ぜひ冒頭で問題提起し、国民の様子や
政府の取り組みなどを発信してください」と言っていただいた。全ての参加者が同意してくれ、
僕のほうに寄りそい、肩を抱きかかえてくれた。
こう見えて意外に涙もろいぼくは、思わず泣いてしまった。
世界が日本の現状を見つめてくれている。
当事者意識を持って考えてくれている。
週末にシンガポールの市内をランニングしながら回った。
日本の被災地のための募金活動が各地で開催されていた。
みんな自費を出し合って、統一のユニフォームやポスター、募金箱を作成し、
大人から子供まで、シンガポール市民から駐在する華人、欧米人、アラブ人、
そして日本人を含め、みんなが心をひとつにして、日本のために汗を流してくれていた。
涙もろい僕は、走りながら、大泣きしてしまった。
人は海外に出ることによって、お国のことをより真剣に、当事者意識を持って考えるようになる。
そして、当事者意識は国境を越える。
民族を超える。
価値観を越える。
政治体制を越える。
世界の平和と繁栄を少しでも長い間持続させ、推進して行くための第一歩。
全ての地球人にとって、それは「当事者意識を持つこと」からであるという思いが、
シンガポールの美しい夜景を見つめながら、どことなくこみ上げてきた。
2011年3月27日 シンガポールマンダリンオーチャードホテルにて