皆さんこんにちは。加藤嘉一です。
いま日本で本文を執筆しています。
約2週間前、約10年間過ごした中国を離れ、ここ数日は東京を中心に各種業務をこなし、
荒れゆく日本と周辺国家との関係も見つめながら、考えながら、明日への準備を進めてきました。
取材、講演、読書、執筆、思考、ランニング…
やるべきことは、すべてやった。たまには自分を褒めてあげたい。
明日、2012年8月23日は、僕にとって運命の時となるに違いない。
渡米します。アメリカに行きます。
ハーバード大学ケネディスクールで、フェローという立場で、米中関係と中国問題の政策研究に挑みます。
ここだけの話、正直アメリカには早くて2008年、遅くても2010年には行く予定だった。
日本の将来を外交的に考え、僕なりの思考を実践に移していきたいひとりの人間として、
近年矛盾を抱えながらも台頭する中国だけではなく、成熟しながらも衰退しているかのように見える
アメリカを知らずして、
僕の考える世界、僕が目指している境地にはたどり着けないと思ったから。
ところが、中国でのミッションが予想以上に忙しくなり、長引き、今になってしまった。
世間に妥協した側面は否めない。
いまのポジションが正しいか、判断もできない。
古代ギリシャの哲学者・アリストテレスがいったように、「人間は社会的な動物」だから、社会という既存の、
でも変化し続ける枠組みでしか、生きていけない。
それをストレスに感じることもある。
ここ数日、とっても怖かった。
世界を飛び回ってきた自分だけど、新たな境地へ赴くとなると、やっぱり不安になる。
その場にいられなくなって、その場から離れたい、現実逃避したいと、本気で思った。
中国で戦ってきた10年間というのは、僕にとっては、それだけ重たいものだった。
アメリカに行っても、自分の頭の中でイメージしたことが現実となって、目の前に浮かんでくるのだろうか。
いまはまだ分からない。分からなくていい。たまには、自分を許してあげようよ。
ランニングでコンディションを整えた。
いまはもう大丈夫。吹っ切れた。
明日成田空港を飛び立つとき、アメリカの空港に降り立つとき、自分は何を考え、思うのか。
いまから楽しみでならない。
10年前、18歳で単身祖国を離れ、北京に向かう時の心境に、なんだか似ている。
そこには変わらない自分がいて、でもどことなく違う自分もいる。
僕には忘れてはいけない絶望がある。捨ててはいけない希望がある。
これまで向き合ってきた自分に自信を持って、これから向き合おうしている自分にプライドを持っていこう。
いつも前だけを見てアグレッシブに。
流した汗は、嘘をつかない。
明日には明日の太陽が昇る。
10年前という過去に考えていたことだ。
10年後という未来にもそう思えるように、今という時間を走ろう。
2012年8月22日 東京にて