東京にて

August 22nd,2012
Blog


皆さんこんにちは。加藤嘉一です。
いま日本で本文を執筆しています。
約2週間前、約10年間過ごした中国を離れ、ここ数日は東京を中心に各種業務をこなし、
荒れゆく日本と周辺国家との関係も見つめながら、考えながら、明日への準備を進めてきました。

取材、講演、読書、執筆、思考、ランニング…

やるべきことは、すべてやった。たまには自分を褒めてあげたい。

明日、2012年8月23日は、僕にとって運命の時となるに違いない。

渡米します。アメリカに行きます。
ハーバード大学ケネディスクールで、フェローという立場で、米中関係と中国問題の政策研究に挑みます。

ここだけの話、正直アメリカには早くて2008年、遅くても2010年には行く予定だった。
日本の将来を外交的に考え、僕なりの思考を実践に移していきたいひとりの人間として、
近年矛盾を抱えながらも台頭する中国だけではなく、成熟しながらも衰退しているかのように見える
アメリカを知らずして、
僕の考える世界、僕が目指している境地にはたどり着けないと思ったから。

ところが、中国でのミッションが予想以上に忙しくなり、長引き、今になってしまった。

世間に妥協した側面は否めない。

いまのポジションが正しいか、判断もできない。

古代ギリシャの哲学者・アリストテレスがいったように、「人間は社会的な動物」だから、社会という既存の、
でも変化し続ける枠組みでしか、生きていけない。

それをストレスに感じることもある。

ここ数日、とっても怖かった。
世界を飛び回ってきた自分だけど、新たな境地へ赴くとなると、やっぱり不安になる。
その場にいられなくなって、その場から離れたい、現実逃避したいと、本気で思った。

中国で戦ってきた10年間というのは、僕にとっては、それだけ重たいものだった。

アメリカに行っても、自分の頭の中でイメージしたことが現実となって、目の前に浮かんでくるのだろうか。

いまはまだ分からない。分からなくていい。たまには、自分を許してあげようよ。

ランニングでコンディションを整えた。

いまはもう大丈夫。吹っ切れた。
明日成田空港を飛び立つとき、アメリカの空港に降り立つとき、自分は何を考え、思うのか。
いまから楽しみでならない。

10年前、18歳で単身祖国を離れ、北京に向かう時の心境に、なんだか似ている。

そこには変わらない自分がいて、でもどことなく違う自分もいる。

僕には忘れてはいけない絶望がある。捨ててはいけない希望がある。

これまで向き合ってきた自分に自信を持って、これから向き合おうしている自分にプライドを持っていこう。

いつも前だけを見てアグレッシブに。

流した汗は、嘘をつかない。

明日には明日の太陽が昇る。

10年前という過去に考えていたことだ。
10年後という未来にもそう思えるように、今という時間を走ろう。

2012年8月22日 東京にて