Blog

20170927

みなさんこんにちは。加藤嘉一です。

その後いかがお過ごしでしょうか。

今回は一つ報告があり、筆を取らせていただきます。

この度、《習近平はトランプをどう迎え撃つか:中国の世界戦略と日本の針路》(潮出版社、2017年10月5日)を上梓することになりました。字数は約16万字あるのですが、「読者が手に取りやすいように」という担当編集者さんの考えに私も賛同し、新書で出すことになりました。計330頁くらいです。

チャプターの構成はシンプルで、はじめに、第一章「トランプ大統領と中国」、第二章「南シナ海問題」、第三章「台湾問題」、第四章「北朝鮮問題」、第五章「習近平外交」、終章「日本の針路」となっています。

タイトルに関して、知人の一人から「なぜ”トランプは習近平をどう迎え撃つか”ではないのだ?」という質問を受けました。

理由は2つあります。1つは、中国側の習近平が国家主席として君臨する時期に、米国で大統領がバラク・オバマからドナルド・トランプに代わったという時間軸に見いだせます。米国の大統領が変わるなかで(しかも色々波乱万丈の展開が発生した過程において)、習近平の中国はそんな米国にどう対応するかというエッセンスを組み込みたかったからです。「迎え撃つか」は私から編集者さんに提案しました。色々考えた結果ではなく、8月に皇居付近の片隅で編集者さんと打ち合わせをしながら脳裏にすうっと浮かび上がってきたものです。

2つに、私の専門は中国であり、米国に関してはかじった程度に過ぎません。米国の対外戦略を系統的に論じる能力や資格は私にはなく、自然と中国の対外戦略を軸に、対米関係を主要対象とし、その過程で北朝鮮問題、南シナ海問題、台湾問題の3つをケーススタディとし、習近平時代の中国外交がアジア太平洋地域に与えうるインパクトを検証してみました。それを考える上で、「トランプ大統領の米国」は避けては通れない分析対象という位置づけです。終章では、微力ながら日本がそんな米中の狭間で、アジア太平洋地域でどんな立場に立って、どんな矜持を持って、どんな役割を果たしていくべきかについても筆を伸ばしました。

特にトランプ政権が発足してからというものの、情勢の変化や展開は速く、かつ不確定要素に満ちており、私自身何度も書き直すことを強いられました。ソーシャルメディアが蔓延し、情報や知識が“ファーストフード化”していっているように見える今日、「そんな中で書籍を世に出す価値、世に問う意義は何処にあるのか」を考えながら、もがきながら書きました。

私にとって、日米中関係という枠組みに特化した書籍を出すのは初めてのことなので緊張もしましたし、気合も入りました。33年間人生を歩んできた一つの帰結として、自分なりにそれなりに納得の行く形で本書を完成させることができたことに対して、いまは安堵の気持ちを抱いています。担当編集者をはじめとする潮出版社の関係者、そして日頃から私を叱咤激励くださる方々に衷心より感謝の意を表したいと思います。

久しぶりに語る感じですが、最後は私の座右の銘で。

流した汗は嘘をつかない

加藤嘉一 2017年9月25日 ワシントンD.C.の片隅にて