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20170110
皆さん明けましておめでとうございます。加藤嘉一です。
久しぶりのブログ更新になります。サボっていて申し訳ございません。

一つご報告させていただきたく、筆を取りました。

この度、中国国防大学教授、《中国夢》作者の劉明福(Liu Mingfu)中国人民解放軍大佐(http://sinosphere.blogs.nytimes.com/2015/10/08/col-liu-mingfu-on-the-u-s-and-china-as-rivals/)との共著で《日本夢》という本を出版いたしました。
簡体字中国語で、北京に本部がある東方出版社という出版社からの出版になります。
日本語では「ザ・ジャパニーズ・ドリーム」が適当かと思います。

習近平総書記率いる今期共産党政権の指導思想でもある”中国夢”(ザ・チャイナ・ドリーム)を書籍という形で論じた劉教授からの一つの問いから本書の企画は始まりました。

「日本人には夢というものがないのか?」

それからこう続けられました。

「アメリカン・ドリームは世界中の誰もが知っている。チャイナ・ドリームは私も論じたし、習近平総書記も指導思想として提起している。日本ほどの国家に夢がないとは思えない。ただ、それはどのようなものなのか?」

一人の日本人として、中国の軍人からのこのような本質に迫るような質問にハッとし、と同時に、以前ダイヤモンド・オンラインでDOY(だったらお前がやれ)チームで、新橋のSL広場や表参道などで強行した「あなたの夢はなんですか?」(上、下)の街頭インタビューを(http://diamond.jp/articles/-/20517http://diamond.jp/articles/-/20886)思い出しながら、私として劉教授とともに「今を生きる、未来へと向かう日本人にとっての夢」という問題を考えてみたいと思うに至りました。

劉教授とのやり取りは刺激的で、その過程から多くを学び、考える機会を得ることができました。

本書は特にアメリカン・ドリーム、チャイナ・ドリームとの比較、或いは米中ニ大国の狭間を生きる日本がこれから、国家戦略、国民の生き方としてどのような「選択」をするのか、していくのか、するべきなのか。

このような視点から共に考え抜き、書き下し、一冊の本として世に問うことになりました。

私個人にとっては、ジャパニーズ・ドリームを真剣に考える機会になったことだけでなく、劉教授という中国の軍人学者とともに一冊の本を作り上げるプロセスそのものがエキサイティングで、時に恐怖や不安にかられつつも、楽しむことが出来ました。

この場をお借りして、このような機会を与えてくださった劉教授、そして我々著者の意向を理解・尊重し、真剣に本書と向き合ってくださった東方出版社の編集者やスタッフに感謝申し上げたいと思います。

そして、いつの日か、私たち日本人にとっての「夢」というファクターをチャイナドリームの論者と書した本書が日本で出版する日が来ることを祈っています。

劉教授は「日本がより独立的になること、より自主的に自らの進路、そして夢を追いかけることが結果的にアジア太平洋地域の平和と繁栄につながる」という考えを持たれています。

劉教授の問題提起や主張は厳しいものばかりで、私たち日本人にとっては耳が痛かったり、時に受け入れられないものもありましたが、中国を代表する軍人学者の問いや見方を耳を傾けること、少なくともそれを知ろうとするハングリーさを持つことは、私たちにとっても必要なのではないかと思いました。

さて、ついでに私の近況ですが、現在遼寧省瀋陽市にある遼寧大学という大学の国際関係学院にて学部生と大学院生に国際関係を教えております。
すでに一学期が過ぎました。
政治・経済を含めて色々と議論のテーマに成る遼寧省という場所から中国情勢を観察・分析するという良い機会でもありますし、何より、学生の皆さんと共に国際関係を考え、ぶつかり合う日々が何より刺激的であり、私自身、日々多くのことを学ばせてもらっています。

いまは冬休みで、いつものようにフラフラとフィールドワークをしていますが、春節明けにはまた瀋陽に戻ります。皆さん、瀋陽にお越しの際はぜひご連絡ください。

2017年、皆さんの益々のご健勝を祈りつつ。
 
 
2017年1月8日 ボゴタの片隅にて