「旅の帰路にて」

January 5th,2015
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20150105

いま、旅の帰路にいる。

今年の師走は騒がしかった。

飛行機には18回乗った。

背中が痛い。
唇は腫れている。

パナマでは、到着直後に自分の不注意によりパスポートを紛失。
なんとか見つかったが、冷や汗どころの話ではなかった。

今年は往年以上に色んなものをなくした。カード、現金、ID、iPhone…
なぜ僕はいつも、色んな大切なものをなくしてしまうのだろう。
昔からの「おっちょこちょい」だけでは説明がつかない。
「これからは注意しよう」、「余裕を持っていこう」と己に言い聞かせても、まるで効果がない。
「疲れていて注意が散漫しているのかも」と愚痴をこぼしたことがある。家族からは「no excuse」と
一蹴された。

生きていくことって難しい。

改めてそう思う。

カラカスで味わったカオスと恐怖。
政府、リーダー、制度、国際関係…あらゆるファクターが文明の盛衰に深く関わっていることを
実感した。
国家の運営には「器」という壁が立ちはだかっているということも。

世界最高峰にある首都ラパスでは果てしなく続く高地に魅了された。
標高4000メートルの空港に到着した後は、薬を読んでいたとはいうものの、
予想通り高山病にかかった。
力の入らない体が重くなっていく感覚はチベット以来だ。

近年、ベネズエラも、ボリビアも、国情や歴史、国際社会におけるポジションは異なるとはいえ、
国家指導者たちは「社会主義政府」・「社会主義運動」を掲げている。
ポピュリズム政治下にある国民の不満は複雑だ。
一筋縄ではいかない。
両国の関係者は、「ビッグブラザー」であるキューバが外交レベルで米国と接近している現状を
複雑な心境で捉えていた。

The Future of Ideology (alliance)。

これから本腰を入れて比較研究し、掘り起こしてていきたいテーマだ。
中国のいまとこれからを考えるうえでも重要だと思っている。

ラパスの夜景を眺めながら、ぼんやりと考えたこと。

旅には2種類ある。

「目的としての旅」と「手段としての旅」。

旅を通じて政治や経済、社会や国際関係などにまつわる知見を広め、視野を広げることは
手段として必要だろう。

一方、旅は旅として価値がある。
生きることは生きることとして価値を有するように。

美しい風景に心身を委ねる瞬間に幸福を覚える。

それは、それだけを以て美しい。

友に感謝したい。
 
 
2014年12月29日 ボゴタ空港にて