自分は空港が好きだ。
見知らぬ土地でも、少しだけ知ってる場所も、そして熟知した空間でも。
空港に着くとき、空港を離れるとき。
自分が自分に帰ってきた気がして。
やけに清々しい。
落ち着かせてくれる。
そこは僕にとって、学校のような存在なのかもしれない。
心から大切にしたい、って思える何かがあることほど、
ひとを豊かにしてくれるものはないのかもしれない。
約一ヶ月のアジア出張を終えて、ボストンの自宅に帰ってきた。
平静とした環境は生活リズムを狂わせる。
そこに適応するには少々のプロセスを要する。
ゆっくり感に慣れない自分。気持ち悪い状態が2日ほど続いた。
それを吹き飛ばすために、30キロ走ってきた。
ここ1ヶ月は運動不足だったから、本当にきつかった。
給水なしの一人旅。
途中何度も吐いた。
目眩もした。
足はつった。
ボストニアンたちに抜かれていく自分。
無様な自分。
歩かないことだけに精一杯な自分。
不器用な自分。
自宅の前に到着した瞬間、すべてを出し切ったという心境でぶっ倒れる。
死にそうな感じが気持ち悪い感じを吹っ飛ばす。
この感じがたまらない。
ぶっ倒れた分だけ、自分はよみがえる。何度でも。
それでいい。
2013年7月2日 ボストン・ケンブリッジの自宅にて、窓の外に浮かぶ夕暮れの空を見上げながら