東京の片隅にて

June 27th,2013
Blog

20130627

僕はいつも不器用だった。

幼い頃から、ランニングで、毎日弟に負けつづけた。

単語をひとつ覚えるのに、人一倍の時間がかかった。

人とうまくつきあえなくて、孤立することも多かった。

一番になれるものなんてひとつもない。

自分のふがいなさに涙したこともあった。

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皆さんこんにちは。加藤嘉一です。

本日は皆さんにひとつ報告させていただきたいことがあり、筆を執りました。

この度、「不器用を武器にする41の方法」(サンマーク出版 7月1日発売)を
出版させていただく運びとなりました。
冒頭の活字は拙書「はじめに」の冒頭部分です。

2013年は僕が祖国を離れて10年の節目の年に当たります。
そんな少なくとも僕にとっては大切な時期に、10年分の思いを込めた、自分が外の世界で、
弱肉強食の世界で生き抜いてきたすべてをぶつけたい。
そんな思いで、長い時間をかけて、準備をして、出来上がったのがこの本です。

「加藤さん、この本はどういう本ですか?」

「加藤嘉一の10年です」

そう答えるでしょう。

名前で勝負するのが親孝行。

実際には、10年というよりは、生きてきた29年という時間の間に、僕が様々な空間で経験した数々の挫折、
失敗をエピソードとして書き下し、そこから僕が学び、今後の糧としたいこと、僕よりも若い、
これから未来を創るプロセスに身を委ねる次世代に伝えたいことを、魂を込めてぶつけました。

気合も入れた。

加藤嘉一という、日本という東洋のジパングで生を授かった一人の人間が、29年を生きる過程で、
外で闘った10年を省みる過程で抽出した「もがきのエッセンス」が詰まっていると確信しています。

挑戦、決断、準備、生き方、そして、僕にとって一番大切な「家族」という名の宝物を見つめながら、
複雑に絡んだナイーブな糸を一本一本解きほぐすように。

9年半暮らした中国から未知の世界であるアメリカに拠点を移し、
新鮮かつ平静な環境に身を委ねたからこそ考えられた僕にとっての生き抜くチカラ。

まだまだ道半ばだし、これからが本当の勝負であることに疑いはない。
でも少なくとも言えることは、いまという時間にこの本を書けたことを、
僕は本当に嬉しく思っているということ。

今日、祖国の首都で、実物の本を手にとってみて、自分がそう感じられたことを僕は嬉しく思っている。

最後に、「不器用を武器にする41の方法」の編集者である
同い年の池田るり子さんに衷心より感謝の意を表したい。
一冊の本を創るために、これほど魂と心を込められる同級生と手を携え、
一つの目標に向かって奮闘できたことを僕は誇りに思っている。
お互いにぶつかりあい、主張しあい、妥協しあうなかで、作品は徐々に輪郭を帯びて、
息吹が生まれ、果実がみなぎり…今日という日を迎えることができた。
この本は池田さんの気合の賜物です。
ありがとう。

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僕が祖国を飛び出して、今ちょうど10年。

ひとつのサイクルが終わり、新たなサイクルがはじまる。

人生の時計の針をイチへと戻す。

終わりははじまり。新しいスタートラインだ。

僕は走りだす。いまだ見ぬ、開かれた世界へ向かって。

(最終章「ゼロではなく、イチからスタートする」より抜粋)

 
2013年6月27日 東京の片隅にて