News お知らせ

ハーバード通信

2013.02.17

皆さんこんにちは。加藤嘉一です。


ここ最近、ボストンは不安定というか、ダイナミックな天候が続いています。
気持ちよく晴れたかと思えば、吹雪が舞い降りてきたりする。
読書、執筆、ランニング、取材、研究、調理、掃除、洗濯...
中国にいた頃には感じられなかった生活の息吹。単調な中に幸福がある。


さて、皆さんに一つ報告です。

1年間かけて執筆してきたダイヤモンドオンラインのコラム
『だったらお前がやれ』(DOY)が最終回となりました。魂を込めて書きました。
現段階における加藤嘉一が滲み出ていると思います。
皆さんぜひ読んでくださいね。

http://diamond.jp/articles/-/32078


DOY自体が終わるわけではありません。
Ⅰ、Ⅱ合わせて、毎週、計40回書かせていただいたので、とりあえず一区切りです。
読者の皆さんに支えられて、年間を通じて執筆を堅持することができました。
心より感謝申し上げます。DOYⅢの出現を楽しみにしていてくださいね。

今日はハーバード大学の学生が主催する
HPAIR(Harvard Project for Asian and International Relations)という
シンポジウムに招かれ、スピーカーとして参加してきました。
ハーバードの学部生が手作りで創りあげる、20年以上の歴史を持つクラシックな学術会議です。
僕も北京大学時代からその存在は承知していました。

http://www.hpair.org/


世界各国からアジアと国際関係に関心を持つ学生たちがハーバードに集結し、
East meets West:sustainable development in the 21 centuryという大きな議題を巡って、
各分科会に分かれて議論を繰り広げました。

僕は「金融危機が東アジアと西側諸国との関係に与えたインパクト」というテーマで講演をし、
学生たちからも積極的に質問がなされ、ダイナミックな議論を展開できました。

北京大学や中国人民大学から中国代表も来ていていました。
みんな僕に話しかけてくれました。
北京大の後輩や、以前講義に来てくれた学生たちです。
アメリカに来てからも中国問題を前向きに考えられるのは、学生たちが積極的にアプローチしてくれるから。
本当に感謝の気持ちで一杯です。

日本代表も頑張っていました。 僕が参加したセッション会場で一番前に座り、
一番最初に質問をする男子学生もいて、非常に積極的でした。
各国の学生が切磋琢磨して競争していくことが明るい将来につながるのだと再認識させられました。

僕も彼ら・彼女らに負けないように、当たり前の努力を怠らない姿勢を貫いていきたいと思っています。


加藤嘉一
2013年2月17日
ボストン・ケンブリッジの自宅にて



北朝鮮 核実験に関して

2013.02.13

皆さんこんにちは。加藤嘉一です。


北朝鮮を巡る情勢が緊迫化しています。
2月12日、北朝鮮政府は第三次核実験が「成功」した旨を発表しました。
米、日、韓は当然強い懸念を示し、
国際的な枠組みの中で制裁措置を加えるべく連携を進めていきます。

焦点となるのは北朝鮮の同盟国である中国の動きであることは
疑いありません。「朝鮮半島の非核化」を外交目標に据える
中国政府も同国の核実験に対して「断固反対」と強い意志を表明しました。
僕がこれまで付き合ってきた中国国内の研究者や政策関係者も、
「中国政府はかつてないほど北朝鮮に対して圧力をかけていくだろう」と見ています。

僕は来月国家主席に就任する習近平総書記の北朝鮮政策には変化が生じると考えています。
これまでも「先軍政治」と「主体思想」を掲げる金王朝は裏で支えつつも、改革開放を促し、
核兵器開発には反対するというダブルスタンダードで何とか切り抜けてきましたが、
新政権では前者は堅持しつつも、後者に重心を置いた政策に転換してくるでしょう。
対米関係や国際社会における責任と利益を考慮したうえでの戦略的政策転換が焦点となります。

ちょうど1年前に出した拙書『北朝鮮スーパーエリートから日本人への伝言』(講談社+@新書)の
終章「習近平の北朝鮮政策」(保護から圧力に転換する習近平)にて、
習近平氏に北朝鮮政策を提言するブレーン2人のコメントを引用したので、ここで皆さんに紹介します。
いずれも、国際社会という枠組みにおける中国と北朝鮮の新しい関係を知る上で示唆に富む発言です。

「中朝両国がこれまでのような血の同盟で結ばれた関係を維持することは現実的ではない。
 どこかで転換しなければならない。次期リーダーが転換への意識を持っておられることは幸いだ。
 急転換は難しいとしても、具体的な政策や主張で、
 北朝鮮にも中国のスタンスを徐々に分からせないといけない。
 これからは無条件に保護しませんよ。
 ましてや核実験や対韓国への武力攻撃などを実施した場合はもってのほかですよ。
 米国、韓国、日本と一緒に、制裁措置をとりますよ。
 そういうメッセージを実際の行動で、独自の外交ルートで伝えていくんです。」


「要は普通の国家関係を構築しようということですよ。
 胡錦濤から習近平へとバトンタッチがされ、
 北朝鮮政治もそれなりに動くであろう2012年がチャンスであり、ターニングポイントだ。
 一気にというわけにはいかないだろうが、
 新しい政権としての基本的戦略とボトムラインは用意しておかなければならない。」


また、具体的政策として、ブレーン2人は3つのポイントを指摘しています。


① 北朝鮮の改革開放は絶対であること。さもなければ相手にしない。

② 核実験や武力行使はもってのほかであること。
  仮に行った場合は公然と非難し、状況次第では制裁を加える。

③ 六カ国協議など地域協力の場面で、米国、韓国、日本とより一層歩調を合わせる。
  一緒になって北朝鮮に圧力をかけることは辞さない。


以上です。
皆さん、引き続き激動の北東アジア情勢を注意深くウォッチしていきましょう。



加藤嘉一
2013年2月12日 米ニューヨーク市内の一角にて

ボストンケンブリッジの自宅にて

2013.02.11

みなさんこんにちは。加藤嘉一です。

2月8日(金)の昼間から夜にかけて、アメリカ東北部は
ストームという歴史的大雪に見舞われ、ボストンにも直撃しました。
当日はハーバードも休校となりました。僕にとってはすべてが経験。
台風サンディーに続いて、アメリカ社会が可変的な状況に如何に対応するのかをウォッチする絶好の機会でした。

9日の午後になるとお日様も出てきて、ハーバードのキャンパス内ではエリート学生たちが、
雪に向かってダイビングしたり、食堂のお盆を遣って下り坂をスライディングしたりと大はしゃぎでした。
あの子供のように無邪気な余裕さが印象的で、彼ら・彼女らがエリートたる所以を垣間見ました。




2月10日午前8時(ボストン時間)。

約3時間の執筆を終え、ランニングウエア―とシューズを身に着け、表へと出る。
辺りには雪かきをする市民の姿が伺えた。
183センチある僕の太ももの位置あたりまで積もった雪は、いまだ健在だった。
こんな大雪のなかを走るのは、10年前、駅伝部に所属していた高校時代の長野県車山高原正月合宿以来だ。

舗装されているところ、そのままになっているところ、ぐじゃぐじゃになっているところ。
いろいろだったが、とにかくいつもと変わらない12キロのコースに向かって走り出した。

歩道と車道を行き来しながら、何度もバランスを崩しながら、前へ、後ろへ、
右へ、左へ。くねくね、ザクザク。

走り始める前は、
「この悪天候でもいつもと同じタイムで走ろう。それがまた自信になる。集中していこう。」
と気合を入れていた。

ところが、いざ走り始めると、体調が悪いわけではないのに、どれだけ脚に力を入れても前に進まない。
逆にバランスを崩してしまう。次第に疲労してきて、視界までもが揺らいでくる。
ストレスがたまり、イライラしてくる。

「このままではいけない」と悟る。発想を変えてみる。

「悪天候の中どれだけ力を入れたって無駄。思いっきり肩の力を抜いて、
迫りくる障害物を乗り越えることを楽しみに走ろう。自然の、曲線的な道のりに身を委ねてみよう。」

ストライドを狭めて、細かいピッチを刻む。
視線を前方から、足元へ落とす。
疲れが抜け、脚にいい感じで力が漲ってきた。

バランスを崩してもイライラしない。

前に道がなくても、焦らない。

また起き上ればいい。

自分の脚で道をつくればいい。

自分の足音に耳を澄ませながら。

自然と一体となっている状態に幸福を感じながら。

たまには後ろを振り向いたっていい。

自分が遺した足跡が見える。いつだって。

走っているのは自分だけじゃない。同じようにバランスを崩しながら、
それでも笑顔を絶やさないで、走り続ける仲間がいる。

ガッツポーズやハイタッチで心を交わすたびに、僕は元気をもらえる。


生かされている。異国の地で感じる。


今日という日は、10年間付き合ってきた中国の春節。中国の人たちにとってのお正月。


今日という日は、28年間自分が生きてこられた土台を作ってくれた母親の誕生日。
一番感謝の気持ちを込めたい、自分のすべてを捧げたい日。


色んな想いが錯綜する。気がづくと、残り1キロの地点に差し掛かっていた。
前方に目をやると、道路がそれなりに舗装されていて、スピードが出せるイメージが湧いた。
逆風のなか、一気にペースを上げて、ガムシャラに手足を動かした。

格好悪くたっていい。

ゴール地点には雪が積もっている。少年野球時代の光景が脳裏をよぎる。
思いっきり、ヘッドスライディングで飛び込んだ。

腕時計に目をやる。

62分2秒。ボストンに来て以来最も遅いタイム。

「思いっきりアウトだな」

それでいい。それでもいい。

太陽が地面を照らす。

氷が解けていく。

2013年2月10日 ボストンケンブリッジの自宅にて



週刊ダイヤモンド

2013.02.04

現在発売中の「週刊ダイヤモンド」2月9日号、
「WorldScope from 中国」に加藤嘉一が寄稿しています。

週刊ダイヤモンド - 2013年2月9日号


尖閣めぐる紛争の"常態化”が中国の狙い
外交政策の選択肢を狭める社会矛盾
(本文より抜粋)

どうぞご覧ください。

日経プレミアPLUS vol.5

2013.02.06

加藤嘉一が連載している日経プレミアPLUSの最新号が発売されました。


「習近平は政治体制の改革を促すか」というテーマで寄稿しています。
どうぞ御覧ください。


【事務局より】

ダイヤモンド・オンライン

2012.02.05

ダイヤモンド・オンラインの加藤嘉一の連載が更新されました。


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ ~思考停止のニッポンをぶった切る~」


第19回: 外で学ぶ中国人エリートは祖国をどう変えるか

私は“大いなる公的目標を抱いてもがき続ける個”のことをエリートと呼ぶ。

香港で、民主化を含めた将来の中国改革を推し進めていくうえで不可欠なエリート集団が、
決戦の時のために、淡々と準備を進めているのだ。

改革の内因である中国人自身が外圧になることで、革命は初めて可能になると、私は身を以て感じた。


(本文より抜粋)

【事務局より】

週刊プレイボーイ

2013.02.05

コラム連載中の、週刊プレイボーイ 2013年02月18日号が発売されました。


プレイボーイ - 2013年02月18日号


アルジェリア人質事件に関して、
被害者の実名を報道すべきかどうか、という議論が巻き起こりました。
ぼくなりに、この問題の本質を探してみたいと思います。

(本文より抜粋)

【事務局より】

ボストン・ケンブリッジの自宅にて

2013.02.01

皆さんこんにちは。加藤嘉一です。

大変ご無沙汰してしましました。皆さんお元気ですか?

約10日間、取材、国際会議、講演などで世界を一周した感じです。
ワシントン、ロンドン、オックスフォード、アイスランドなど。

空の上で色んなことを考えたし、出張先での見聞は心の裾を広げてくれた。
特に雨模様の早朝、
ロンドン市内を爆走した心地よさは僕を無の境地へと追いやってくれた。
そこから生まれるインスピーレーション。あの感覚がたまらない。

知的作業が肉体改造の上に成り立っている
という当たり前のことを身体的に、
異国の地で体験できたことは大きな収穫でした。

とはいうものの、
飛行機に乗っている時間が長すぎて、脳に酸素が不足している感覚に襲われています。
まあこういう感覚も時にはあってもいいし、実際そういう辛さを楽しんでいる自分もいる。

今はボストンに帰ってきて、心身共に落ち着くべくコンディショニングを整えています。
ハーバードでの新学期も始まったので、規則正しいライフスタイルを構築していきたいと思っています。

とにかくランニングですね。そこが疎かになるとすべてが狂い始める。
追い込むことで光は射す。

自覚することから逃げないこと。

時間の前で能動的であれ。


ELTのTime Goes Byを聴きながら...

2013年2月1日 ボストン・ケンブリッジの自宅にて